教科書に蛍光ペンを引き、まとめノートをきれいに作り、赤シートで何度も読み返す。受験勉強でおなじみのこのやり方、実は「頑張った感」のわりに記憶に残りにくいことが、研究でわかっています。共通テストまで残り数か月という時期だからこそ、効率のいい勉強法を知り、毎日の習慣に落とし込むことが大切です。勉強時間の記録には習慣トラッカーアプリも役立ちますが、その前に「何を記録するか」、つまりどの勉強法を選ぶかを決めましょう。
🕐 30秒でわかるまとめ
- 代表的な10種類の勉強テクニックを比較したレビューで、「有用性が高い」と評価されたのはテスト練習と分散学習の2つだけでした(Dunlosky et al., Kent State, 2013)。
- 蛍光ペンでの線引きと読み返しは、同じレビューで「有用性が低い」と評価されています(Dunlosky et al., Kent State, 2013)。
- 思い出す練習は、最初に3回正しく思い出せるまで続け、その後は間隔を空けて3回復習するという目安が示されています(Rawson & Dunlosky, Kent State, 2011)。
- 新しい行動が習慣になるまでの期間の中央値は66日。勉強法も「続けられる形」にすることが前提です(Lally et al., UCL, 2010)。
効率のいい勉強法と悪い勉強法、何が違うの?
アメリカ・ケント州立大学のJohn Dunlosky教授らは2013年、学生がよく使う10種類の勉強テクニックについて、数多くの実験結果を整理し、それぞれの有用性を評価しました。
結果ははっきりしています。
- 有用性が高い:テスト練習(自分で問題を解く・思い出す)、分散学習(時間を空けて繰り返す)
- 中程度:精緻化質問(「なぜそうなるのか」を自問する)、自己説明、交互練習(異なる種類の問題を混ぜて解く)
- 有用性が低い:要約、蛍光ペンでの線引き、キーワード記憶法、イメージ化、読み返し
つまり、多くの受験生が時間をかけている「線を引く」「読み返す」「まとめる」は、効率の面では下位グループ。一方で、しんどく感じる「思い出す」「間を空けて繰り返す」が上位に来ます。
読み返しが効きにくいのは、文章を見ているうちに「わかった気になる」からです。目の前にある情報を認識できることと、テスト本番で何も見ずに思い出せることは別の能力です。
テスト練習(アクティブリコール)のやり方
テスト練習といっても、模試のような本格的なテストである必要はありません。ポイントは「答えを見ずに、自分の頭から引き出す」ことです。
- 英単語:単語帳の日本語訳を隠して、英語を書き出す
- 世界史・日本史:教科書を閉じて、白紙に年表や流れを書き出す
- 数学:解説を読む前に、一度自力で解き切る。間違えた問題は翌日もう一度解く
- 赤シート:「読む」道具ではなく「隠して答える」道具として使う
ケント州立大学のRawsonとDunloskyは2011年の研究で、「どこまで練習すれば十分か」を検証しました。そこで示された目安は、最初の学習で3回正しく思い出せるまで練習し、その後、間隔を空けた別の日に3回復習するというものです。1回答えられただけで「覚えた」とするのは早すぎる、というのが実感に近い結論でしょう。
分散学習:一夜漬けより「間を空けて繰り返す」
定期テスト前の一夜漬けで点が取れても、受験本番には残っていない。多くの人が経験していることですが、これも研究結果と一致します。同じ勉強時間でも、一度に詰め込むより、日を分けて繰り返したほうが長く記憶に残ります。
受験勉強に取り入れるなら、たとえば次のような流れです。
- 今日覚えた単語を、翌日・3日後・1週間後にもう一度テストする
- 間違えた問題に印をつけ、週末にまとめて解き直す
- 過去問は解きっぱなしにせず、1〜2週間後に同じ年度をもう一度解く
ここで難しいのは、内容よりも「スケジュールを守ること」です。復習の日を忘れれば、分散学習は成り立ちません。毎日やることを記録できる習慣トラッカーを使えば、「今日は何の復習の日か」を目で確認できます。
勉強習慣をつける方法:やる気に頼らない仕組みづくり
効率のいい勉強法を知っても、毎日続かなければ意味がありません。続けるためには、意志の強さより仕組みを整えることが近道です。
時間と場所を固定する:「夕食後、自分の机で単語テスト15分」のように決めておくと、迷う時間が減ります。生活リズムそのものを整えたい人は、新学期の生活リズムを整える方法もあわせて読んでみてください。
スマホを物理的に離す:通知が来るたびに集中は途切れます。勉強中はスマホを別の部屋に置く、またはロックできるケースに入れるのがシンプルで効果的です。詳しくはスマホ依存をやめる方法で解説しています。
始めやすい環境をつくる:単語帳を机の上に開いて置いておく、自習室に行く日を決めておくなど、環境デザインの考え方を使うと、勉強に取りかかるハードルが下がります。
毎日の記録でTrakBitが役立つ理由
テスト練習と分散学習は、どちらも「毎日少しずつ、決まったことをやる」方法です。だからこそ記録との相性が良いのです。
TrakBitの習慣トラッカーでは、「英単語テスト20語」「数学の解き直し1問」「日本史の白紙書き出し」のように、具体的な行動を習慣として登録し、終わったらチェックするだけです。カレンダーで振り返ると、復習が抜けている科目や、勉強が止まりがちな曜日がひと目でわかります。
連続記録(ストリーク)もモチベーションになります。決めた習慣を休みの日以外にやらなかった場合、連続記録はリセットされます。そのかわり、たとえば塾のある日や日曜日など、あらかじめ設定した休みの日は記録が途切れません。無理な毎日ルールを作るより、最初から休む日を決めておくほうが、受験期のように長期戦では続けやすくなります。
習慣になるまでの期間の目安
UCLのLallyらの研究では、新しい行動が自動的にできるようになるまでの期間の中央値は66日で、人によって大きな差がありました。最初の数週間は「意識してやる」段階だと割り切りましょう。くわしくは習慣化にかかる期間の記事で紹介しています。
10月末から始めれば、66日後はちょうど年末年始。共通テスト直前には、思い出す練習と間隔を空けた復習が当たり前の習慣になっている計算です。
まとめ
効率のいい勉強法の答えは、意外とシンプルです。読み返しや線引きに頼らず、自分で思い出すテスト練習と、間隔を空けた分散学習を中心にすること。そして、それを毎日の習慣として続けること。今日やる復習をひとつ決めて、TrakBitで記録を始めてみましょう。
参考文献
- Dunlosky, Rawson, Marsh, Nathan & Willingham, Kent State University, Psychological Science in the Public Interest, 2013. https://doi.org/10.1177/1529100612453266
- Rawson & Dunlosky, Kent State University, Journal of Experimental Psychology: General, 2011. https://doi.org/10.1037/a0023956
- Lally, van Jaarsveld, Potts & Wardle, UCL, European Journal of Social Psychology, 2010. https://doi.org/10.1002/ejsp.674
よくある質問
蛍光ペンで線を引くのは意味がないのですか? まったく無意味ではありませんが、Dunloskyらのレビューでは「有用性が低い」と評価されています。線を引いたら、その部分を隠して思い出せるかを試すところまでやると、テスト練習に変わります。
ノートまとめに時間をかけるのはやめたほうがいいですか? きれいなまとめノート作りは、時間のわりに記憶への効果が見えにくい方法です。まとめるなら短時間で済ませ、残りの時間を問題演習や白紙に書き出す練習に回すほうが効率的です。
1日何時間勉強すれば効果がありますか? 研究が示しているのは時間の長さより「やり方」と「間隔」です。同じ時間でも、一度に詰め込むより複数の日に分けて思い出す練習をしたほうが、長く記憶に残りやすいとされています。
勉強習慣はどのくらいで身につきますか? UCLの研究では、新しい行動が自動化するまでの期間の中央値は66日で、個人差が大きいことがわかっています。最初の2か月は記録をつけながら続けるのがおすすめです。